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No.361 【凧糸】 

 

 元旦は、濃紺と鮮やかなオレンジのグラデーションを、どんな大声も、慟哭のような波音にかき消されてしまう強風の砂浜で、震えながら眺めたものです。チャリンコで凍えて着いた浜には、誰が始めたか、流木を集め高々と祀り上げるような炎を巻き上げる焚火。日が昇り始めると一気にその熱線が、そんな寒さの中でも頬を温めます。
 この砂浜の東、中田島砂丘では、数えきれない大凧が揚げられます。大きなものは10畳。浜辺で風速10m/sの場合、このサイズの凧が上空50mの時の糸(綱)にかかる耐張力(瞬間に突風が吹くことも想定して)は、役1,5トン。何十人ものパワーが必要なわけだ。
一度、見に行ったことがあります。上空に上がり切ると小さく見えます。この凧の制作依頼主の知人は、初子のお父さん。子どもの健康と未来と夢の実現を願ってとのことでした。そうだな・・・落ちようとも多少破れようとも、遠くに小さく見えても、糸が切れない限り何度でも揚げられる。確かに、夢と一緒だ。

No.362 【かわいい子には旅を】 

 

 「親が言っても聞(効)かないので、監督(コーチ)からから言ってやってください!その方が、効き目があるので。」ここに含まれている問題を親と指導者が共有していなければ、子どもは次の抜け道を探すことになります。
 効力を発するには、必要条件があると考えています。聞かなかった場合、徹底的に自分に不利益になるところまで、みまもれるか。親と、依頼された側の両者が、なぜその内容を子どもが聞き入れなければならないかを説明できること、共有していること。立場の違う人からのアドバイスは、掛け算的に子どもの心に響かねば意味を成しません。
 ということは、育てる側は、親であろうと指導者であろうと、重要な事柄、特に自主自立に関わっていくことに関しては、引いてはならない責任を負いたいものです。「かわいい子には・・・」は、大きくはその年齢によって、もつ意味が若干異なる(これについては、別のコラムで記載したいと思います)とはいえ、不都合が、人を成長させるという因果関係には合点がいきます。
 言って聞く(効く)なら苦労はしない・・・もちろん、その通りです。だから策を練ることになります。討論、効果のありそうな人に依頼、ペナルティ、一緒に苦労する、仲間と苦労させる、おや、意外と種類はありませんね。ただし、目的と差し伸べる手の温度を見誤らないようにしたいものです。根気が要ります。自戒。

No.363 【アントニオ猪木】 

 

 かつて同門のジャイアント馬場とともに、世界的にも著名なプロレス界のレジェンド。コブラツイストと卍固めを必殺技、フィニッシュホールドとする日本のプロレスリング界の力道山の次世代ヒーロー。先日、現在の彼を知る。幾度となく繰り返される入退院、難病と闘う車いすとリハビリの姿。
 国会議員経験があり、いきなり北朝鮮、イラク、キューバと紛争や外交トラブル渦中のど真ん中に、単身飛び込んでいく姿に、賛否両論。おそらくは、そのことが転び方によっては、平和を揺るがすことにもなりかねないことや、スタンドプレーをやっかむ他の議員の見地からすればトラブルメーカーに映ったはずです。
 是非ではなくその行動力、決断力は他を圧倒していました。その彼が、病と闘う姿、それを公表し、闘い方、挑み方を見せること、本当は心の中では、寂しさや無念や絶望もからみあっていることは想像に易いことです。
 しかし、自分で自分を奮い立たせ、自分が自分を救おうとし、その姿を見たものが、動こうとすることもまた、想像に易い。その挑戦は、まさに「燃える闘魂!」最後の最後、究極の場面で自分を救うのは、自分の言葉と勇気ある行動でありたいものです。

No.364 【頭でっかち】 

 

 生物が可愛がられる理由に、まあるい、小さい、頭部が大きいバランス、目鼻口が中心によっている配置などの見た目と、動きがちょこまかしているかあるいは小さい、などがあるといいます。とは違って、ここで言う頭でっかちは、言わすもがな「思考」のことです。
 あれがいいのかも、こうがいいのかも、試行以前の状態が先走る状況で多く使われます。ここではその良し悪しを言うのではなく、過程としての在り方を詰めてみます。
 シュレーディンガーの猫、パラレルワールドでは体験可能にする術があるのかもしれませんが、同時進行が不可能な現実社会では、ちょっと進んでは引き返しの繰り返しです。その過程で(参考No.38 「PDCA」)たくさんの案、策、ステップが豊かに創造され、具体策をもってチャレンジすることはとても発展的でよいことです。その裏に、同時進行できなくなった状況(意識や事柄)や、捨てなくてはならない状況もあることになります。その積み重ねが多く、深く、長いほど、判断は大胆に。浅はかな判断は、楽な方向に、お互いが傷つかない方向に、即効性のある方向に向かいがちです。付け焼刃では到底返り討ちにあうこと必至。挑戦の過程は、新たな道を切り開く術と言えます。
ただし、振り返った時のこと、切り捨てたもの、者、への責任を伴うことを忘れてはなりません。それをも想定して進まねばならないと私は考えます。
 考えて考えて考えて、その先にある判断であるものであれば、全ては好機と考えるべきでしょう。・・・頭でっかちも悪くない。

No.365 【ジェンガ】 

 

 やいのやいの言いながら(実際に「やいの」なんて言わんけど)、くずれおちるほど面白いおもちゃの一つにドミノがあります。最近の動画サイトを見ると、手の込んだ芸術作品のようなものも。作る楽しみと壊れる楽しみ、過程が長く結果が短い、それゆえに心躍ります。
 この楽しみの根拠に近いものに、ジェンガがあります。こちらは、過程の中に個人の思考判断と、周囲の思考判断のせめぎ合いの要素がさらに加わり、最後の責任を負わされるのは、その1本を抜き、積み上げた主役。チームでの対戦では、目の前のタワーのバランス以上に人間関係のパワーバランスが見え隠れしたりもします。
 たくさんの騒音に近い意見や罵声?の中から、信じるに値する意見を選び、有効な手段を頭の中で設計する。そして、勇気をもて決断し、最大の敵である自分の緊張と闘い、その1本を抜き積み上げる・・・。いやいやそんな大げさなものではありません。ただの遊びです。ただし、相当に物事を解決方向に進めるための思考と試行の要素をもっています。成功だけではなく、危ない橋を渡りたくなる危なっかしさに挑みたくなるのも人の性。
 ジェンガ、偉大なり! 追記:「ジェンガ」は スワヒリ語の「組み立てる」が語源のようです。)

No.366 【つながる】 

 

 大震災直後から、「きずな」や「つなぐ」は、私たちの心に強く染み込んできている言葉です。言葉というよりもこの三文字からは、想いや手立てが回想と発想・策の入り混じった感情が浮かび上がってきます。昨今、コロナの三文字が、この感情を憎しみに似た重みを含めて、ここまでさらに広げようとはだれが想定できたでしょう。
 今回のちょいバレの記事は、ここまで記載し早朝は時間切れ、出勤の途に就く中、偶然かそれとも以心伝心・・・。1年半以上会えていなかった遠征でしかお会いできない遠く離れたチームの監督さんからの連絡が入りました。待ちわびた対戦への思い、お互いに切磋琢磨が1球ごとに積み重ねられる期待。しかし、その水面下には、大きな葛藤がありました。感染症への不安・・・。チームで真剣に話し合い続けてくださったそうです。監督さんのお話に「子供達にとって本当に大切な事は何かを、真剣に考えてくれる保護者の方々だなあと誇りに思います。本当に大切な事は間違いなく子供達の健康です。そこについて深く考えてくれる保護者の方々で本当に良かったです。そんな保護者の為にも、子供達の健康は絶対に守らなければなりません。」その通りです。
 これは、足枷(かせ)ではなく、私たちチームとして、他県の志を同じくする仲間としての失敗の選択肢は無いチャレンジにほかなりません。
 私からの返信は、「何十年先に、育った子たちが、本当に強く優しいかは、きっと、ここに集う仲間たちが答えを間違いなく出してくれると思えるのが、皆さんです。きっと、そんな闘い方をコートでみせてくれるんじゃなかいかなと期待で胸が膨らみます。参加してよかった、と帰ってからも、年を越してからも、来年も、何年か先も、そう思っていただける機会にしたいと思います。」つながる、基(もとい)、つなげる!
 ・・・再会が叶い、劇的な響き合いを体験し、雪道で鹿に見送られながら帰都。くしくも、この合宿翌日、亡き同士のお墓参りのご報告を長野から受けた直後、新型コロナ感染症は、かつてない爆発的な拡大を見せ第6波に突入・・・そう思うと奇跡の二日間だったのかもしれません。チャンスとは、そうそう簡単に訪れない。

No.367 【悩めるスパイカー(スイング練習)】 

 

 身体の大きさに似合わない迫力のある打音。体重が少なかったり手が小さかったり、でも、掌の中心で空気を圧縮し偏りなく一気につぶすことによる破裂音「パーン!」を毎回響かせられるミート巧者。
 226.232では、助走から着地までの空中動作を自己流に解説したコラムがあります。ここでは、空中でミートする瞬間のフォーム作りのための素振りをもう少し丁寧に話します。
 実際のラリー中では、流れに応じてフォームは基本通りには99%以上従っていません。同じことも二度と起こりません。そんなことは百も承知の上でやはり、基礎は、幹です。幹からどれだけ離れているかわかっていなければ修正ができません。地図の軸がなければどこにいるのかわかりません。
 必要なものは(イメージアップのための手具は後述)、姿見(鏡、最近はスマホのスロー撮影など)と他人に説明できるうんちく。・立幅は線を挟んで(足裏の一部が線を踏むくらいに)歩幅より若干狭いくらいで立ちます。左右にぐらつく。でも実際の踏み込みでは、スピードを水平から垂直に変換させる身体の動きで30度くらい骨盤の向きが進行方向と異なるため、ぐらつかないスタンスになるので問題ありません。・前身はリラックス。・鞭がかかとから上半身いしなるようなイメージでバックス院の両腕を大きく、体の横を通過するまでは伸ばして振り上げます。・手の甲は頂上で高い位置を指すのは右利きの場合は左手。・右手は頂上に到達のちょっと前に自然に(左右の骨盤の向きに引っ張られて)少しさがります。そこからは232のスイングイメージにつながります。・スイング時、意識したいのが、右肩の動いている大きさ(円の大きさ)です。手や腕ではなく、肩が右後方下側から一気に大きく高く次に前方へと移動し、左肩と入れ替わっているかです。・このイメージを作るには、掌の向き、肘の向きが練習用に動かせているかがカギになります。スパイクの見た目のイメージは掌が前を向きひっぱたいている感じに見えます。しかし、素振り練習では、弓を引ききったよような姿勢からのミートまでのスイング練習は、先に方の回旋→肘→手首(掌は後ろ向き)→投げ出したら自然に手首と掌がクルっと回転します。・ボールが飛んで行った方向(クロス側)を顎を引いて首や胸に力をぐっと入れるイメージで見る(ボールの落下までをイメージして)・肩が入れ替わると同時にそれに引っ張られて自然に骨盤が回転します。・左足はそのままの位置、右足も。ただし、右足は位置はそのままですがつま先を地面につけてかかとは自然に上がり半回転します。全て自然の流れ、動きです。どこかに無理な力や不整合が起きる感触があればどこかが間違いです。
 このスイング練習、手にペットボトルを持ったり、タオルを持ったり、少し伸びあがるようなリズムをつけたり、オノマトペや擬態語を発しながらなどの工夫も有効です。何度も何万回も。実際のスパイク練習で強打ではなく空中でこの意識に集中して行うことで徐々にきれいなフォームに近づきます。そして、ビデオに撮って「おお~かっこいい!!」

No.368 【captaincy】 

 

 集団が目的をもち、そこに向かおうとする時必要な要素がいくつかあります。その一つが、captaincyです。言葉のイメージから、キャプテンとしてのリーダーシップ(統率力や牽引力など)と想像はつきます。子どもや発展途上のコミュニティに尋ねるとだいたいこう答えが返ってきます。「チームをまとめる」「仲間を引っ張る」と。合ってます。では、自分が抜てきされたらどうしましょう? その前に、多くの人は「自分以外の誰か適任」を探し、あるいは祀り上げ、あるいはいけにえに差し出そうとします。穏やかじゃない。
 スポーツチームでは、この練習ができます。できれば全員がその練習をするべきだと思います。「全員がキャプテンのつもりで」と言うだけの練習は、「つもり」以下の状態でだいたい終わってしまいます。本気でリーダーの責を果たそうとしない限り、その環境設定を行わない限り、安穏とした体験に終わります。
 策を準備するのはいつもとても大切なことです。できれば小さな環境から。わかりやすくがんばれば達成できるはずの設定から。具体的に試合(練習試合)の中でのゲームキャプテン抜てきは、もってこいの場面の一つです。策は、数日前に提示する「ゲームキャプテンの仕事」とそれを見据えての自己宣言(自分抜てきされたら何をどうするか、一番やりたいことは…。)と、通常練習の中で試行を自分ですること。
 合宿では、毎回この作業(ゲームキャプテン経験)を行います。そして、体験終了後ほとんどの子が、できなさと悔しさで泣きます。準備があれば、何をしようとして考えて、やってみて、何ができて何ができなかったのかが、準備がないよりは効果的です。漠然とした反省ではなく言葉にできます。
 そんなに簡単じゃないんです。ゲームキャプテンの遂行は! そう考えると光が見えてきます。ここから振り返ったメンバーが、ここでできなかったことをできるように自分に火をつけたら、それが12人コートとベンチを埋めたら…想像すると鳥肌が立ちます。三歩歩いたら忘れてしまう鶏にならぬよう…。
 注:文中の「体験」は実際にやってみる行為のこと、「経験」は体験によって身につけた考え方や感情や技術などのこと、と勝手に分けてみました。また、鳥と鶏も区別しています。私は後者。

 

No.369 【樹海】 

 

 霊峰富士、樹海はそのすそ野に広がる平安時代の大噴火によって1000年以上かけて形成された広大な自然です。数々の迷信や史実を含み、その根拠も科学的なものから非科学的なものまで様々です。樹海に入ったら生きては返れない、そんな言い伝えから事実と想像が交錯し合いながら神の存在を湛え続けてきました。きっとこれからも。昨今、科学も進歩し、かつての不可思議が解明され続け、夢があるようなないような。
 先日、バレーの練習中にこんなことを保護者(お母さん)の方がおっしゃいました。「うちの子、頭の中が樹海なんですよ。」言い得て妙な表現です。自分の体がどうなっているか、体現は映像的にはどうなっているか、思ったことができているのかいないのか、空中感覚、バランスや瞬時に自分がどちらを向き、行きたい方向にステップを出す直前の重心の位置やもって行き方・・・多くの要素はその子の中では混とんとし、説明はおろか、樹海をさまよう本人そのものであり、周りはまさに樹海のような環境です。
 ただし、「科学も進化し」は生かせます。樹海から生き延びた人は、生きたいと考え、どうしたら脱出できるかを冷静かつ怠りなくあきらめずに持ち続け行動した人です。どこから来たのか、星の位置は、耳を澄ませる冷静さは、寒さをしのぐ最良の術は、夜間に動かぬ判断は、食料の調達は。生存率を高める最良の選択は・・・
 混とんから向かうべき方向の判断を下すのは、冷静で科学的な整理と意志の継続です。頭の中の樹海と青木ヶ原が結びつきました。お母さん、「頭の中が樹海」は妙ですが確からしさはありますね。そして、脱出には、迷い込む前の最悪を想定した事前の準備が大切なことは言うまでもありません。
注:青木ヶ原で命を落とされた方への冒涜ではなく、敬意をはらっての記載です。むしろ、「生きる」はチームスポーツのその先にあるテーマです。敢えてここで樹海を取り上げた意図の一つと受け止めてくだされば幸いです。

No.370 【chance】 


 「出る単」は受験生必須アイテム、最近ではアプリでしょうか。ちょいバレに記載される文章の中で、表題の単語「chance(チャンス)」を検索してみるとここまでで55回登場しています。機会、好機、形勢などの意味。
 先日、遠方のチームの指導者の方たちとLINEで近況を交換した時のことです。感染症に配慮して練習をしばらく休止(奇跡的な合宿の2週間後から)。以前だったら肩を落とすところですが、不思議なことに逆の力が湧いてきたと話されました。合宿で高めた感情をもう一度目標にしたい、困難な状況でも積み重ねてきたことが力になっていたことが実感できた。この2点はどのチームも共有できるものでした。そして、まとめの言葉は以下です。
 「状況によっては、再び長期のオンラインや自主練になるかもしれません。前回の乗り越え方を基礎にして、チャンスととらえるしか道はありません。チャンスは、みんなが諦めかけた時、誰もが忘れかけた時こそ、そこにあるんじゃないかなと思います。見出す眼、生かす工夫、続ける根性、響かせ合う活力、その底力が私たちにはあるような気がします。」
 ・・・これで58回・・・

No.371 【ソメイヨシノと山桜】 

 

 春には桜を愛でてスタートや回想や今日一日の康、何十年先の未来を願うのもです。名所と呼ばれる並木に根を重なり合わせながら枝を絡ませ合いながら私たちを歓迎してくれる多くは、ソメイヨシノです。その荘厳なスタイルはよもや樹齢は人より短いとは、だれが思っていたでしょう。
 元々は苗の接ぎ木によって新たに作り出された新種でした。一方、自生種の山桜、枝垂桜は樹齢400年を超える長老、寿命は800年に至るのではないかと推定される神のような桜も存在します。
 接ぎ木は幹の深部と側が別のモノ故に、巨木化しても中から朽ちることが多い。さらに密集して根や枝が交錯する環境は樹木のストレス、虫害に会いやすいとのことです。
 周囲が外見に意識を馳せているうちに、手遅れになって一斉に朽ちる桜はみたくはありません。何か策があるはず・・・
 弘前公園の桜は、「桜着るバカ、梅切らぬバカ」の通説を覆し、木々を間引きし、大胆に選定し、ストレスを減らして樹齢を大きく伸ばしています。と公園のおやじが。
 中から朽ち果てないように、スタート段階からその成長を見定めること、もてはやされるところのみに意識を向けないこと、先々を予想してその時々の対処を事前にすること、大胆に丁寧に信念と根気をもって。桜の観方、少し多角的になれそうです。
 この桜から名前をいただいたという知人の「しの」君、そういえば腹黒い。長生きしてね。という私も腹黒い。

No.372 【オーバーハンド】

 

 先日、保護者向けのワークショップを開きました。基礎のフォームについて、色々な角度から伝えるだけではなく「考え合う」「創造し合う」作業。そのベクトルの先には、「こんな人に育って行ってほしい」があることを前提にスタート。資料を準備していて初めて気づいたのが、おや「オーバーハンドパス」については詳細の説明をコラムに記載していなかったことでした。だいたいそんな感じの徒然コラムですから。遅ればせながら。
 手は使えないけど、ショーのアシカは上手にオーバーパスをします。イルカも。サッカー少年だった私だってヘディングで・・・。
 さて、ここからは、人類のオーバーハンドパス(バレー編)の基礎フォームです。
 ・足の幅は肩幅。前後の差は、シューズ半分くらい。練習ではどちらかにクセをつけない方がいいと思います。・ひざの曲げ角度は1~5段階の3。上体はやや前傾(脛の傾きと平行くらいのイメージ)。・5本の指を広げて左右くっつけて、親指と人差し指の中心から小指の接点が見えるように。そのまま親指をおでこに宛てます。この位置がセットポイントです。親指が見えないように、あるいは、親指を下からのぞくような位置という方もいます。ここからの動きが一番大事です。・小指→薬指…最後に親指が離れます。前後の動きではなく外側に。・腕をそのままボールを上げる方向に伸ばしきる。(戻せばそのまま、ウサギの耳みたいに…って言ったら、またまた~コーチの言うこと95%うそだからな~って、まったく信用無いですね)・めっちゃ飛ばそうとか、全力でとかは不要です。きれいなフォームで、上げたい方向にふんわりと。長距離砲を狙う特別な練習以外は、丁寧に、正確なパス、ひざの角度は3~2の間(しゃがみ込みが5、直立が1)で動きを抑えるくらいの楽なイメージで。・上げたらその動きのながれのまま、1歩前に出る。
 そこから先の発展的なトスについては、またの機会に。

 

No.373 【3テンポ助走の整理】

 

 手具を使い、床に目印をつけ、隣で動きを理解している人が手をつないだり、擬音や動画、スロー撮影でフィードバックをその場で行えば、イメージは持ちやすいものです。スパイクへの3テンポはちょいバレで取り上げたのですが、いかんせん、このコラムは「気分次第」という徒然度が濃いために、まとまりがないというか点在するというか・・・
 ここでは「助走練習(空中動作は抜かして)」の方法のみについて、意識するポイントを整理してみました。もちろん、完全に主観、ですが、質問されれば、一つ一つのエビデンスは説明します。(覚えたてのエビデンスって使ってみたかっただけ。スポーツ業界でも使うのかは知らん。以下、動作の意識のポイントには番号を付けました。
〔ステップのリズム〕(正確には4歩、テンポは3つ)
 最後の3テンポ、1歩目はリズムを合わせるステップ、(右利きなら右足)、2歩目は、スピードと前傾角をダイナミックに加えて大きなステップ、3歩(テンポ)目は、水平移動の力を上方向への力に変えるステップ。①♪♩♫(正確には4歩、テンポは3つ)。スタート時は短パンの後ろの上を引っ張り上げられているようなイメージもやってみるといいかな。ま、人によりけりです。
〔ステップ 1テンポ目〕(右利きを例に)
 実際のスパイク助走では、動きながらタイミングや方向を計りながらなので、5歩にも7歩にも、逆に2歩にもなったりもしますが、ここでは3テンポの練習として扱います。
 ②1テンポ目は、右足を小さめに前にだす。体重を後ろから前に移動しながら。②腕は古イメージではなく、前にならえのように。腕を片方ずつや、大きく振りだすと2テンポめのタイミングか合いません。③この時の掌はスイカかメロンかボールを持っているような感じ。④前身はリラックス。④姿勢はほんの少しひざに余裕を持たせて。⑤スタートの向きは、セッターの方ではなく、自分が走りこむ方向に移動するイメージで。
〔ステップ 2テンポ目〕
 ⑥2歩目を出すと同時に両腕を大きく振り下げる。手に持ったボールやメロンを床にたたきつけるように。⑦手のひらは、体の横を通過するまでは伸ばす。⑧手のひらは、絶対に床に向けない。肩への負担、上体の傾きなど、ジャンプへの動きを阻害します。⑨スイングは体から大きく離れない(狭い幅で)。
〔ステップ 3テンポ目〕
 ⑩そのまままっすぐ高くジャンプ。まっすぐにしろではなく「真っすぐを意識する」です。実際には、左右の足の前後差、骨盤の向きにより自然に左右差が生じます。無理に左の体側をネット側に向ける必要はありません。⑪助走練習では、打つことを意識せず、大きなフォームで大きなスイングでゆったりと全身を伸ばして。⑫最後に右手で一番高いところを触るイメージ。着地もふんわりと楽に。
※打撃はさておき、まずは「助走」と割り切っての練習内容の紹介でした。

No.374【Běijīng 北京冬季オリンピック①】

 

 過去の冬季オリンピックにおいて、彼女ほど心を震わされた選手を私はみたことがありません。しかもLIVEでその瞬間を観戦できたことは感謝の一言に尽きます。小さな巨人の名は高梨沙羅選手。
 経験したことのないこころの状態、緊張とか全力でとか、そんな世界を完全に逸脱した崩壊状態の極限外の極限。高梨選手は団体戦1回目のジャンプでヒルサイズに迫る女子では1位の大ジャンプ。世界、日本の応援を背にスタート台に立つ。何万回もスタート台に立ってきたし、前大会以降何百回も修正を試してきたといいます。たった8秒に何年も命がけのチャレンジをし続けてきたんだと思います。自分のため、仲間のため、大事な人たちのため、応援してくれるみんなのために。スタート台に立つだけでもそのすべてを背負いながら最大のパフォーマンスを演じるためのコントロール。99%以上の人ができないことです。
 失格!大きな事態で失敗をしたことのある人なら、近い感覚は理解できなくもありません。しかし、彼女が背負ったのは、1億人の期待と試技後の歓喜。そこからの転落です。でも、ここで示す言動は、この先の自分と多くの人たちが「こんな時こそどうするか?」の道標になることを間違いなく考えたはずです。
 散々泣きはらした表情はゴーグル越しにうかがえました。全身の力が抜けて普通なら立っていることすらできないと思います。2回目の試技のスタート台、彼女は自分に何と語り掛けたのでしょう。
K点(これ以上飛んだら危険の地点)を超える大ジャンプ。着地後泣き崩れる高梨選手をチームメイトが誇らしげに駆け寄ります。失格は誰のせいとか、もし失格でなかったらとか、そんなことは後の祭、どうでもいいことです。こんなに自分をどん底から奮い立たせて自分なりの示し方を表現してくれた高梨沙羅選手、世界中の凹んでいる人に勇気を与えてくれました。エースはやっぱりすごい!

 

No.375 【meeting】

 

 昨今、「オンラインmeetinng」の便利さを痛感します。画面共有の機能を駆使して、手続きや選択すべき内容の資料説明は、非常にわかりやすいものです。ところが、やっぱりは実物を眼で見てみたいものです。バイクのツヤ感、万年筆の書き心地、ジャケットのしっくり感。
「meeting」は、内容、質によって、扱い方を考えなくてはなりません。オンラインでもOKなもの、そうでないもの。(オンラインオフラインのタイトルのちょいバレがあったような)実施形態ではなく、進行方法、扱い方について大きく二つに分けてみます。オープンタイプとクローズタイプ。
 オープンタイプは、その話し合いの経緯を大事にし、国会中継のように、経過を知ることで結論を納得できる内容に結び付けたり、証拠として残したりすることが求められるものです。一方クローズタイプは、逆に秘密裏に。さらに、クローズタイプを二つに分けます。クローズ①は、実施したことやテーマは公表され結果のみオープンにするもの。もう一つは、meetingの経緯や結果を公表しないタイプです。クローズ②としましょう。
 最近6年生と行ったmeetingはこのクローズ②を選択しました。吉とでるか凶と出るか、否、吉にするか凶にするか、は自分たち次第となります。Meetingの結果は、ここから先の自分たちの在り方を周囲が見て「そういう結論だったんだ、ここに到達しようとしたんだ!」と明確にわかるような生き様の表現をもって理解してもらうしかありません。あらかじめ到達点を発表するクローズ②は、その過程では、周囲の後押しや忖度が少なくなります。自分たちでやり遂げるしかない形です。それ故大きなチャレンジです。ちなみに、クローズ②は、HIGASHI初の試みです。中途半端で終わったりして?・・・ケケケ。

No.376【地面スレスレの景色】

 

 これがゾーンなのか、を体験したことがある人は少なくはないと思います。その前提にはフローという状態がある場合と、そうでない場合があります。フローは例えば、のめりこんでいて時間を忘れてやっていた、などの状態です。ゾーンは、その状態にあって瞬間的に脳の伝達スピードが通常以上に働く状態です。交通事故に遭った瞬間に、こう動けばケガを最小限になどと対応する。これは、フローをベースにしない場合の例です。
 いつもゾーン状態を脳が作りだせれば、バレーの技術や試合での判断は、超技巧派と呼ばれる選手に一気に近づくのでしょう。でも、そう簡単にはいかないものです。
 さて、思い起こしてみると、ディグやフォローで自分の前にボールが落ちる地面すれすれの瞬間、縫い目や回転速度や傾きをすごくよく観察できていたり覚えていたりすることがあります。これも、プチゾーンです。となると、誰にもちょっとは究極と呼ばれるゾーン状態の入り口に立てる方法があるんじゃないかとも思えてきます。
 そのとおり。ドラゴンボールやカンフー映画のような空想の世界でなくても、ゾーンの扉を開けることは可能です。方法をいくつか紹介します。
・毎日続ける。・目的を絞って練習する。・できるまでのイメージやストーリーをしっかり意識してそれに近づけようとシャカリキになる。・誰もが無理だといっても自分の到達点は自分で決めて信じて取り組み続ける。・できるための技術や方法を探りまくる。・後退しないように記録などに残す。・ルーティンを決める。・望む到達点より少し無理な状況にチャレンジし続ける。・恐れない。・成功イメージをいつでもできるように反復する。・ライバルをもつ・・・。他にも色々あると思いますが、おや?このどれもを、毎回、体育館で、家で、ミーティングで、やってますね。あとはその思いの強さによるのでしょう。
 挑めたとしたら、ボールが地面スレスレの景色の中に、君の右手が滑り込んでくる実像を見る日は、もうすぐそこだ。あいつの強烈なスパイクの回転速度と軸の傾斜を見切って、足の甲ででもディグを成功させるのも!

 

No.377 【ゴキブリとチーター①】

 

 「みんな最近どうしてる?。あ、噂をすれば・・・」「お久しぶりです。オンラインって便利ね~」「それにしてもあなた相変わらず世界最大ね!」「そうね、11cmもあるから。」「でも、あなたの方が動きは速いよね!」「まあ人間に換算したら時速300キロ近いからね。」「空気抵抗も小さいし、地面スレスレで滑るように、サササって。」「この動きは私らが3億年くらい研究してきたからさ。」「にわか仕込みの小学生バレーボーラーに負けるわけないわよ。」「数だってさ、人口の200倍はいるのにね~」「ホイホイとかシューっとか、何だかそこまで嫌わなくてもね~」「そうなのよ。むしろ見習ってほしいわ。この俊敏なサササってやつ。」「この前、台所の下から、テレビのぞき見したんだけど、スポーツやる人の1歩目ってこんな動きよね。きっと、私たちから学んだのよ~。」「そうね!ゴキブリ万歳!」「私たち、だいたいなんでも食うんだけどさ、最近はハマってるのはね、食べ物が入ってたトレーね。なかなか行けるわよ・・・」 
 すでにちょいバレでは、「ゴキブリ」について既説と思い込んでいましたが、探したところ、本来の意図を記載していなかったため、今回ゴキブリの縁の下での井戸端会議を盗み聞きした内容を挙げました。
 もし、スポーツ場面で「ゴキブリ」と称されたなら、俊敏さの術をもち、触角があるかのような鋭敏なセンスと判断力をもち、抜群の運動能力と危機回避能力と集団での攻撃力をもっているという誉め言葉。特に、初動のサイドステップ。
 近日、同タイトルの②を挙げます。・・・忘れると思う。

No.378【テキストタイプと相棒タイプ】

 

 A、B、C…順番に基礎からの英語。2×3=6、2個入りのイチゴ大福が3つ。これの基礎は2を3回たすことがさらに基礎にあります。まずは基礎を積み重ねるタイプ。①「テキストタイプ」。
 「右京さん、公園の雑木林で人が倒れています…。」犯人の残した事件の形跡は? 事件を解く鍵と策は…。まずは事件が起きてそこから紐解くタイプ、刑事ドラマ「相棒」。②「相棒タイプ」。
 以上の二つは、スポーツの練習場面では大きく二つに分けられる練習手法です。もちろん前者のストックが無ければ後者は成立しません。後者は、例えば、ゲーム形式の練習を先に行い、そこから課題やテーマを探り出し、解決策に至る練習を都度行う方法です。時と場合、個人のスキルやチームの到達度によってバランスよく、効率的に組み合わせる必要があります。
 通常練習では①→②。試合が近かったり、流れの中で崩れるなどの課題を持つ場合は②→①。結局は、鶏と卵の話のようになるのかもしれませんが、一日のコーディネートで区切れば、目的意識を把握しやすいものになります。
 以前、「PDCA」のコラムを記載しました(38)。上記二つのタイプを一つの「PDCA」の流れに当てはめるとこんな感じです。
「P」1セットを通して攻める意識を強くもって連続失点をしないゲーム運び。「D」実戦形式で2チームに分けて紅白戦。「C」評価、課題が終盤の攻撃陣のミスとブロックフォローの甘さ。「A」ブロックを立てたスパイク練習、台上のブロックからのフォロー練習、ラスト3点(5点)を連続で取得するウォッシュゲームの連続。
 この中の「A」にある切り取り練習が①ということになります。でも、あまり複雑に考えなくても、基礎をたくさんやって、総合練習で試して、課題を見つけて補強練習をしてでいいと思います。ただし、これを効率よく、合理的に運ぶのは指導者の役目。いえいえ違います。子どもたち自身の役目(身につけるべきちから)だと考えています。

No.379 【バラドッジ】

 

 通称「バラ」。今思えばこいつはかなりのスポーツ? 遊び? です。そこに必要なのは、俊敏性、瞬時の判断力、周囲と自分の位置関係の瞬時の把握とその前後の動きや流れからの位置取りの判断、勇気、テクニック、タイミング、冷静さ…。
 バレーボールに必要な要素をこれほど濃密に効果的に持ち合わせている遊びに出逢ったことはありません。
 「バラ」は、私が小学生の頃、毎日、授業間(たとえ5分でも)、放課後、ひたすらそこに集まる勇者どもと対決したのを思い出します。今でも、至近距離の速球をひざ下に潜り込むような姿勢で捕球した感覚を思い出せます。直前の恐怖と勇気と冷静さ(開き直りのような)の感覚も全て。不思議です。子どもながら、ゾーンにいたのかもしれません。
 ルールは二つ。顔面禁止と自分以外全員敵。コートはありません。校庭や広場や休耕田全部がフィールドです。どこまで追おうが逃げようが、即興で仲間を作ろうが解散しようが、なんでもありのバトルロワイアル。投げる真似をして相手がひるんだ瞬間にぶち当てるのだってアリです。ひしめき合い、渦巻く人間関係、最終的には一番当てた回数が多い者が勝者。
 188のちょいバレでドッジボールのススメを記載しました。このバラはその中でも最も過激ですが、最もバレーボールを上達させてくれる遊びとも言えます。
 「バラ」を流用した練習方法もあります。3人~4人1グループ。通常対人レシーブ(レシーブ→トス→スパイクの繰り返し)で行うことを打ち手以外は全員敵(ディグ)に回る練習方法です。打ち手は当然変わります。誰にトスを上げてもOK。至近距離でも打ちまくる。ほーら、だんだん過激になっていく。フェイクや強打や腹黒さが増してくる。でも、絶対に捕球してやるという強い意識やそれに必要な術も捻出し始めてきます。こうなればしめたものです。ただし、チームワークはバラけないように。立った一つ、「バラ」と違うのは、「つなぐ」という最も大切な要素を追加しなければならないこと。だからこそ、バレーは面白いんだ!

No.380【未来日記】

 

 機を逸せず、策を創造することの何と難しく、奏功することは稀であったり、逆効果であったり、空しかったりすることも多々あります。ただし、振り返って、無駄だったと感じなかった場合は、きっとそこそこ考えて導き出した策だった場合なのではないかと思います。
 さて、時期を選び、対象者を選び、課題の一つの策として「未来日記」を課すことがあります。意図、書き込んでもらいたい項目は、こんな感じです。
 主な意図→徹底的に、自分やチームの弱みをこれでもかというくらいに、全部出したら、そこから抜け出す徹底した具体策をいくつも考えるチャンス。
 込める項目→(1)1-1で迎えた3セット目。展開を創作する。(2)自分の弱いところが全て盛り込まれていること。その時の感情や考えや具体的な脱出方法などが、具体的に細かく表現されていること。(3)チームメイトの弱いところがたくさん盛り込まれ、それがすごく重なってしまうなどのピンチが盛り込まれ、それに対しての自分の対応が表現されていること。(4)チームのいいところが盛り込まれていること。(5)自分が一番チーム貢献する姿が、全て盛り込まれていること。(6)夢(こんな試合展開をしたい!)が描かれていること。(7)1点ごとに書いてもいいし、スタートの5点と最後の5点くらいに焦点を当ててもいい。どちらにしても上の(2)~(6)が入っていることが大事。※大げさに、想像力を豊かに!!
実際の課題文書を添付しておきます。これは5年生向け。6年生向けは・・・もっと要求度が高くなります。こちら側からではなく、自分自身に向けての、チームに向けての要求度が。

No.381 【Sケン】

 

 「教育課程」なるものが10年に一度見直しがある変遷の中で学力にかかわる教科が増え、 小学校での体育の時間は、減ってしまいました。総授業時数は増え、数々の習い事が増え、電子機器(スマホやタブレット)の活用という言葉の衣装をまとった遊具が増えました。子どもが心技体知を豊かにはぐくむことは難しいと誰しもが答えざるを得ない現代日本。
 と、嘆き口上はこれくらいにして、「バラドッジ」に続いて体感とバランス力向上にもってこいのこいつ「Sケン」について語ります。
広場や校庭、時にはこっそり休耕田をそれなりに仲間たちと均した空地、ボールや遊具が無いときには、ほぼこれでした。S字の上と下の内側に宝(だいたい石か木)、外側を回って敵地内はケンケン。陣地に突破を試みるケンケンの敵をぶっ倒す。ほぼ成功しない。その他のルールはさておき、この突破を試み、成功させるには、筋力、瞬発力、判断力、バランス調整力、転倒直前の危機回避能力、そして勇気と意志の継続力、これらが高いレベルで必要です。私の記憶では、その何年間の間にけが(擦り傷程度は含みません)をした人は一人もいなかったと思います。
 しかしながら、たぶん、現代では学校ではやらせられません。「あ・ぶ・な・い」からです。やるとしたらこうなります。ヘルメット、肘あて、膝あて、人数制限、肩ひもをつけて、倒すのではなく紐をとる・・・学校を攻めてはいけません。安全に体育や学校生活を遂行するための配慮を課せられているからです。
 問題は、上記の必要な力をどこで補うか。少年少女の競技として、ラグビーはケンケンではないものの、動きは近いですし、柔道や体操も必要な要素をいくつももっています。バレーボールは? 
 凍った路面をチャリ走行中に転倒し、そのままスライディングに移行した無傷の大人に、登校途中の小学生が拍手をした。バレーをやっていてよかったと思った瞬間です。

No.382【卒業する仲間へ】

 

《 卒業する仲間へ 》 
 
 「やさしさ」と「つよさ」、しかも本物の。私たちが身につけてほしいものを手に入れるきっかけは、HIGASHIでみつけられたかな? この二つが、同じことだと理解できる自分が今、ここにいるはずです。私が文章にするとしたらこうです。本当のつよさをもつ人とは、「どんな時でもどんな場面でも、笑顔で自分と大切な人たちを支え続けられる意志とやさしさと勇気を持って行動すること、生きることのできる人。」でもね、勘違いしてはいけません。その人にとって、今、何が一番必要なのかを、その先を考えて言葉にし、行動にしなければなりません。優しい言葉やすぐ差し伸べる手を「寄り添う」とか「やさしさ」とは言いません。自分や仲間や大切な人たちのこれまでとこれからを、ここで養い始めた眼でよーく見てください。

 たどり着きたい景色、手に入れたいもの、形があろうがなかろうが、どうやってそこに向かえるかを考える方法を一番身に付けることができるチームが、HIGASHIです。その方法をいくつも提案できる自分、創造できる自分が今、ここにいるはずです。

 目標を設定する意味。達成への道のり。その中で丁寧に、自分を客観的に、具体的に築く策、たくさんたくさん積んできました。技術的にもそれ以外にも、こんなにクソめんどっちい経験をしてきた小学生は、まずいないでしょう。自分で考えて答えを絞り出して、でもなかなか成果が現れない悔しさや、どうしたらいいのかわからないときの泥沼のような期間だってみんな経験してきています。

 越える方法は、簡単に答えを教えません。というより、約束できる正解なんて、私たちにだってわからないんです。ただし、その「挑み方」が、「辿るべき道」であったことは間違いありません。それを一生懸命やってこれたのであれば、辿った道は一番素敵な道だった言えます。できるかできないかにかかわらず、「次の一歩」を自信をもって踏み出せるはず。「自分を信じる」とはそういうこと。

 そして、信頼されるに値する自分をつくることへのチャレンジはできたかな? 鏡にうつっている彼女、一瞬前の自分を乗り越えることへのチャレンジはできたかな? 心のすぐ横で笑顔で強引に手を引っ張って絶対に離さないでいてくれる仲間とチームを築くことへのチャレンジもできたかな?

 まず一つ、卒業生大会で、答えを出せたよね! 心底!心底!しびれる内容でした! こんなチャレンジができる人になった。藤橋戦、最後の1点をみんなでもぎ取った瞬間、思いっきり立ち上がってガッツポーズしたおかげで、腰痛になった。

 みんなは、このちからをもって中学校へ。残念ながら、このちからの一部は、卒HIGASHI生を見ていると、忘れてしまっているように思えて仕方ありません。たぶん、照れや勇気のなさや挑む心の強さや向きが、今のみんなと違うのかもしれません。でも、このちからは、絶対に仲間と自分を救うものであることは明言します。今、誰と、何をしなければいけないのか、前を上を向いて考えてくださいね。

 毎年、必ずHIGASHIには、最後にドラマが起こります。と言い続けてきました。でも、なぜかはぼんやりとしかわかりませんでした。ただし、ぼんやりの中にも、私たちには、確信もあったんですよ。すべてはそこにつながり、到達点そのものも、その先から振り返れば通過点です。 

 ここからは、中学という青春の真っただ中に突入するんです。勉強と部活、それ以外に一生懸命になっている暇はないぞ。挑めよ! 中学生! 挑み方は伝授しましたよ! HIGASHIに伝統があるとしたら、この「挑み方」がその一つです。
 

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